岩手県宮古市の田老地区は「津波太郎(田老)」と呼ばれるほど、古くから度々大きな津波に襲われています。近年では明治29年(1896年)の明治三陸大津波と昭和8年(1933年)の三陸大津波によってほとんどの家屋が流されるという壊滅的な被害を受けました。

このため、国や県からは高台移転を要請されましたが、高台の土地が狭かったこともあり、村は防潮堤の建設を進める方針を決定して昭和9年から建設工事を開始、途中に戦争による中断期間を挟みながら、最終的には昭和54年の完成となりました。

全長2433m、高さ10mという世界最大の防潮堤は「万里の長城」と呼ばれ、各国の津波研究者の関心も集め、これで津波対策は万全と思われていましたが、平成23年3月11日の東日本大震災による巨大津波は、この防潮堤を易々と乗り越え、その一部は決壊してしまったのでした。