2011年3月11日東日本大震災の日、すべてが大きく変わってしまいました。福島第一原発の事故により、住民が避難した後、周辺地域には、多くの犬、猫、牛、馬などの動物たちが、取り残されました。
 写真家の大塚敦子さんは、震災後、20キロ圏内に残された一匹のねこ、キティを引き取りました。保護されたときは、やせて眼ばかり鋭かったキティは、東京に引き取られ、穏やかに暮らしていました。その後インターネットを介して、キティの家族が見つかり、再会を果たします。しかし、キティの元の家族は、仙台で避難生活をしていて、引き取ることができません。
 一時帰宅で、家族が自宅に戻ってみると、あの日の地震でめちゃくちゃになったまま。雑草ものび、荒れ始めていました。自然豊かな福島の土地は、いまも変わらず美しいのに、放射能という目に見えないもののために、いつ戻れるのかもわかりません。
 そこには、生と死がそのままの形で残されていました。
 今回の写真展は、キティの目を通して、福島の原発事故で何が起こったのかを写真で人々に伝えるものになります。

※コメントは以下から転載しました。
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784097264903