岩手県陸前高田市にある高田松原は約7万本もの松が生い茂る景勝地でして、県内有数の海水浴場としても知られ、震災前の夏の人手は17万人に上りました。
ところが、東日本大震災による巨大津波により松原にあった松は根こそぎ倒され松林は壊滅し、松林だった広大な砂浜は、津波と地震に伴う地盤沈下により松の根元が残るだけの湿地のような状態となりました(写真をご覧ください)。
その中で唯一流失を免れた「奇跡の一本松」は「希望の松」と呼ばれ復興のシンボルとなったのですが、塩害のために枯死したため、一旦伐採して保存処理をした上で元の位置に復元されました(写真は伐採前のものです)。現在、4万本のマツを植える松原の海岸線の再生事業が進められています。
震災の津波により陸前高田市は1800人以上が死亡・行方不明という甚大な被害を蒙りました。
この「奇跡の一本松」と松の後ろに写っている「陸前高田ユースホステル」、「道の駅高田松原タビック45」は津波被害の大きさと恐ろしさを後世に伝える「震災遺構」として保存されることとなっています。
また、令和2年3月26日から47都道府県を巡る五輪聖火リレーのルートに、この津波に耐えた「奇跡の一本松」が被災後に再建された宮城県南三陸町の「南三陸さんさん商店街」などとともに入ることが、東京五輪・パラリンピック組織委員会から5月末に発表されています。
写真①② 陸前高田ユースホステルと奇跡の一本松
写真③ 根こそぎ倒れた松林 写真④ 道の駅高田松原タビック45
写真⑤ 震災1年前の高田松原(2010年3月) 写真⑥ 震災直後の高田松原(2011年3月26日)
写真⑦ 現在の高田松原(2016年3月) ※写真⑤⑥⑦は、いわて震災津波アーカイブより引用