東日本大震災から7年が過ぎました。この災害に対する記憶は、年々薄らいでいます。直接被害を受けていない地域の人々にとって日々の生活の中での風景は、震災によって何も変わっておらず、主に情報の中で知った被災地の姿は情報が減るにしたがって忘れていくのは仕方のないことです。一方、被災地でも震災を体験していない子供たちがいつのまにか主流になってきています。

人の記憶の始まりを4才〜5才とすれば、今の小学生のほとんどは震災の記憶がないのです。震災の恐ろしさとそのための備えの大切さ、そして、被災した方への思いやりを日本中の人々が意識し、考えていくことが大切な時期を迎えていると強く感じています。少しでも多くの人々にその気持ちを呼び起こすことが、今私たちの出来る復興支援活動の一つの在り方だと思います。

今回作成したポスターは、平成23年弊機構の設立以来復興支援のシンボルとして協力いただいている羽生結弦選手に、その呼び掛けの顔としての役割を担ってもらっています。「東日本大震災を忘れない」ということをシンプルに伝えることで、震災があったことを人々の記憶の中に長く留めてもらいたいと思います。

今年、日本中の人たちを感動させた羽生選手の記憶と共に、羽生選手が常に念じている被災地の方々を元気づける行動を少しでも多くの人がとってくれることを祈念します。また、今回、作成するポスターは被災地の小学校に無償で配布します。直接体験をしていなくても、震災後被災地で育つ子供たちは、様々な思いがあるはずです。自分の周りの人たちが体験した東日本大震災という事実を、真直ぐに受けとめるアンテナを持ち続けてもらえればと思います。

平成30年5月30日
東日本大震災雇用・教育・健康支援機構
理事長 田中潤